英語のジョークはなぜ難しい?

〜笑えない理由と、笑えるようになるコツ〜


はじめに:英語のジョークが「???」な理由

「先生が英語でジョークを言ったらクラス全員が笑った。でも、自分だけ笑えなかった…」
こんな経験、英語学習者なら一度はあるのではないでしょうか?

英語がある程度読める・聞けるようになっても、「ジョーク」や「ユーモア」になると、なぜかピンとこない。
英語のジョークが理解できないのは、単語力や文法力の問題だけではありません。そこには、言葉の構造・文化の違い・感覚のズレといった、いくつかの“深い理由”があるのです。

今回は、「なぜ英語のジョークは難しいのか?」その理由と、英語のユーモアに少しずつ親しむためのコツをご紹介します。


理由①:英語のジョークは「言葉遊び」が基本

英語のジョークには、「puns(ダジャレ・語呂合わせ)」が頻繁に使われます。
たとえば、こんなジョークをご存じですか?

Time flies like an arrow. Fruit flies like a banana.
(時は矢のように飛ぶ。果物バエはバナナが好き。)

最初の文は「時間は矢のように早く過ぎる」という慣用表現。
でも次の文では、「fruit flies=果物バエ」という虫と「like a banana=バナナが好き」という意味で、まったく違う方向に持っていく“ひねり”があるんです。

このようなジョークは、日本語に直訳しても面白さが伝わりにくいのが難点。言葉の音、構造、曖昧さが“面白さ”のカギを握っているのです。


理由②:文化や社会背景を知っていないと笑えない

英語圏のジョークは、その国の政治・有名人・ドラマ・歴史・習慣などを前提にしているものが多いです。たとえば:

“I told my wife she was drawing her eyebrows too high. She looked surprised.”
(妻に「眉を描きすぎだよ」って言ったら、驚いた顔をした。)

「眉が高すぎる」=「常に驚いた顔に見える」という皮肉が入っています。
これは、化粧文化を前提にしていないとイメージが湧きにくいですよね。

また、イギリスのジョークには政治皮肉が多く、アメリカのジョークにはポップカルチャーやブラックジョークがよく使われます。その国の社会背景や“常識”を知っていると笑えるという点も、英語ジョークの難しさの一つです。


理由③:「皮肉」や「言外の意味」を読み取る必要がある

英語のジョークでは、**sarcasm(皮肉)understatement(控えめに言うこと)**がよく使われます。
たとえば、誰かが失敗したあとにこう言うとします:

“Well, that went well.”
(いやあ、うまくいったね。)

実際にはうまくいってないことを「うまくいった」と皮肉る。日本語にも似た表現はありますが、英語ではトーンや文脈を見極めないと「冗談なのか本気なのか」がわかりません。

英語の“笑い”は、文字通りの意味よりも言葉の裏にある意図を読み取る力が試されます。


翻訳では伝わらない? 〜ジョークの「翻案」という考え方〜

言葉遊び・文化背景・皮肉——こうした要素が絡んだジョークは、日本語にそのまま訳すのが非常に難しいです。
そのため、「翻訳」ではなく「翻案(adaptation)」という方法が使われます。

たとえば、日本のテレビ番組を海外に紹介する際、英語のダジャレを日本語に置き換える際は、意味が近い別のジョークに差し替えることがあります。

▼英語のジョーク例:

“Why did the scarecrow win an award? Because he was outstanding in his field.”
(案山子が賞をもらったのはなぜ? 彼が「畑で目立っていた(=優れていた)」から)

“Outstanding in his field” は「分野で優れている」と「畑に立っている」をかけたジョーク。
日本語に直訳しても意味不明なので、「田んぼに立ってるから“田んぼスター”」のように置き換える工夫が必要です。


英語のジョークを理解するコツ

英語のジョークを笑えるようになるには、少しずつ慣れていくことが大切です。以下のような方法がおすすめです。

✅ 文化に触れる

ニュース・ドラマ・YouTubeなどで、英語圏の価値観やユーモアに触れてみましょう。

✅ 子ども向けジョークで練習

英語圏の小学生向けの「Knock Knock ジョーク」は、語彙も簡単で入門にぴったりです。

Knock knock.
Who’s there?
Lettuce.
Lettuce who?
Lettuce in, it’s cold out here!
(“Lettuce”と“Let us”をかけている)

✅ ネイティブの発音や抑揚を意識

ジョークはイントネーションが命。文字だけでなく、動画や音声で“言い方”を学びましょう。


まとめ:笑えるって、嬉しい

英語のジョークが理解できるようになると、「自分もネイティブと笑いを共有できた!」という自信になります。

最初はわからなくても、少しずつ意味を調べたり、背景を知ったりすることで、“笑える瞬間”が増えていきます。
そしてそのとき、英語はただの勉強ではなく、「言葉で世界を楽しむ手段」になっていることに気づくはずです。


最後にひとこと

英語のジョークが理解できたとき、「あ、今ちょっと世界が広がったな」と感じます。
そんな体験を、あなたにもぜひ味わってほしいと思います!